全てのビジネスに通じる顧客管理の重要性
34歳でサラリーマンを卒業。
「寝過ごした!」
退職した翌日、その声で目が覚める。
「・・・そうだ、オレ退職したんだった!」
「ハローワークにでも行ってみたら?」
「そんな格好悪いことできるか!」
退職後のあてもなくサラリーマン卒業。
とにかく、起業したかった。
当時、はやりの喫茶店でもなんでもよかった。
ただ、ありきたりの喫茶店ではなく、顧客管理をする喫茶店。
当時、顧客管理をする喫茶店など無かった。
「恩人、シャディ社長との出会い」
物件探しをしていたある時、義父より、ある社長の紹介を受ける。
お出会いして、数時間、熱く語る社長の夢をお聞きする。
その社長とは、シャディの林信一郎社長。
「ギフトのフランチャイズチェーンを作りたいのです!
近々実験店を立ち上げる。その実験をしてもらえないだろうか?」
「当社は、卸会社で小売りをしたことがない。
だから、小売業のマニュアルもなにもない。
そのマニュアル作りの協力をしていただきたい」
林社長の熱い想いに心を動かされる。
「わかりました。
ぜひ、させて下さい。
お話を伺っていると、私が考えていた顧客管理を徹底する
店舗作りが、必要と考えます。
ですから、3年、いや最低2年の時間をいただけるでしょうか?」
「わかりました!それでは、その2年間、うちで給料を出しましょう!」
「そう言っていただくのは有難いのですが、それはお断りさせていただきます。
給料をいただくということは、縛られることになりますので!」
「それじゃあ、全面的にバックアップさせていただきます」
ビジネスの基本 ― 挨拶訪問
それからというもの、死に物狂いでした。
自分のためというのではなく、
林社長の顔をつぶすようなことがあってはならない。
得体のしれない恐怖と使命感ととの闘い。
実験店オープン前の4か月間、周囲2500所帯を1日250件、
オープンまでに10回を目標に、挨拶訪問を開始する。
最初は、お客様には胡散臭く感じられました。
とにかく毎日ご挨拶です。
買って欲しいという言葉は一切出しません。
約10日に1度ご挨拶に訪問するわけですから、
5回目くらいの訪問になると「間に合っています!」という言葉が、
「あなた、熱心ね」という反応に代わってきました。
その言葉が出るようになると、お客様との心が通じたような気持になります。
そして、オープン当日。
驚くばかりのお客様がご来店下さいました。
そして、夜はご来店者様へのお礼状書きです。
「山田さん、この方は夫婦そろってきてくださった方。
田中さん、この方は頑張ってくださいよ!と励ましてくれた方」等など。
オープン前の挨拶訪問が、ボディブローのように効いています。
ランチェスター弱者 ― 無駄を行え!
サラリーマンの時に耳にタコができるほど言われた「無駄を行え!」
この訪問という無駄が、将来の財産となります。
そして、それから2年間。
一人一人のお客様を大切にしてきました。
これがランチェスターのいう「弱者の戦略」です。
・狭い地域で戦うこと。(地域密着戦略)
・一対一の勝負に持ち込むこと。
つまり、相手が大手企業の営業マンであっても、負けない能力を身につける。
・地域一番店になることです。
何をもって一番となるか?
そこで考えたのが、お礼状の枚数地域一番。
そして、笑顔地域一番。
お茶のサービス地域一番でした。
お茶のサービスについては、ご来店いただいた方120%の方にサービスさせていただきました。
お客様は勿論のこと、宅配のお兄ちゃん、郵便配達の人。
とにかく店に足を踏み入れた方すべてに、お茶のサービスをします。
そして、その果実として店の雰囲気が明るくなりました。
「本当にご苦労様でした!ありがとうございました!」と社長からの電話。
それまでの苦労が洗い流されました。
それから全国にフランチャイズ店募集。
いま全国で、1200店舗となっています。
ただ残念なのは、同じマニュアルを使い、同じツールを使いながら
売上げに格差があることです。
その原因は、マインドセットというかマニュアルの行間に書かれている
「想い」の伝わり方が、一店舗一店舗違うからだと推察しています。
ですから、起業を目指す方にお伝えしたいのは、
何のためにこの仕事を始めたのかという
マインドセットを持ち続けるということです。
その為には、前向きな仲間を作るということ。
また、ランチェスターのいう同じ武器で戦えば、引き分けるというのですから、
毎日勉強して、相手より少しでも強い武器を身につけましょう。
その勉強するということが、モチベーションにもなります。
そして、最も大切なことは、相手に喜んでもらうこと。
与えれば、必ず与えられる人になります。
従業員にも、基本は与えることです。
与えて、与えてすれば、どんどん味方が増えてきます。
ランチェスターのいう弱者の戦略の神髄はここにあると思います。