「ツキを呼ぶコツ」
「さしあげ上手になる」これは社長わらしがギフト店をしているから言うわけではないのです。
これがツキを呼ぶコツなのです。
船井総合研究所の指導を5年ほど受けたのはもうかれこれ30年前になります。
当社の社是「不易流行」もその時、学んだこと。
事業をうまく経営するコツとして「単純化(して考え、単純に実行)しよう」「長所を伸ばそう」「前向き、積極的、プラス発想で」「喜ばせよう」「恨(うら)まれることはしない」
この5つを実行することで人相が良くなり、ツイていくと指導を受けました。
「喜ばせよう」
「こんなことがありました‥」
(後にも先にも一度だけ船井幸雄先生のご指導を受けました)
先生「あなたのされているご商売は何でしょうか?」
わらし「お返しもの、中元、歳暮などの贈答品店をしております。」
「そうですか」
少し間を置かれて先生は「一ついい話をしてあげよう」とおっしゃいました。
以下はそのお話です。
私(船井先生)の顧問先にA百貨店という地方百貨店がありました。
そこの社長さんをBさんとしておきます。
A百貨店は、商圏人口40万人くらいの地方百貨店ですが、もちろん、その所在都市では一番大きく、一番よく売る小売店でした。
このBさんは、戦後シベリアに抑留され、帰国後、家業の衣料品店を大きくされ、その地方都市では一番の百貨店にまで成長させた立志伝中の人でした。
私は、このB社長が、お中元やお歳暮を商圏内の全世帯に送ることに気付きました。そこで、次のように、ひとこといったのです。
「B社長、中元や歳暮は、いつもお世話になっている人に贈るものでしょう。たまにしか来ない客に贈るより、その経費分は、商品を安くするとか他のサービスをお考えになった方がよいのではないでしょうか?」と。
この時、Bさんは、私の顔を10分間くらい黙って見つめていました。
そしておもむろに次のようにいい出しました。
「船井先生、私は先生ほどアタマのよい人間ではありません。
しかし、世の中のことを、先生はお知りにならないようですね。
実戦を知らないといった方がよいかもわからないが、そんなことで経営コンサルトを今後もつづけておられますと、必ず大失敗をされますよ。
私は、初年兵時代を満州で過ごし、シベリアに抑留され、とんでもない苦労を重ねてきました。
帰国してからも、働きに働いていままで大きくなったのです。
しかし、苦労はよかったですよ。
シベリア時代に、苦労したおかげで生き方のコツを知りました。
だから、商売ではそれを実践しただけです。
よく働きましたが商売の方ではそんなに苦労はしていません。
なぜならそのコツはカンタンなことで、とにかく人さまを喜ばせるとよいのです。
その一番良い方法が、なにかをさしあげることです。
ただ上手にさしあげねばなりません。
人間は、どんな人も、もらうことが好きです。
もらえば、くれた人を好きになります。
好きな人のためには、つくしてくれます。
とはいえ、人間には自尊心がありますから、さし上げ方がむずかしいのです。
大義名分がいるのですよ。
ものでも、お金でも知恵でも、なんでもよいのです。
大義名分さえあれば他人様の喜ぶものをうんとさしあげればそれでよいのです。
大体、向こう五年で、さし上げたものは十倍にはなって返ってきますよ。
これは私の経験からいえることです。
お中元やお歳暮というのは立派な大義名分でしょう。
先生にお説教をしてもうしわけありませんが、おわかりになりましたでしょうか?
先生も、これからは、さしあげ好きになってください。
おそらく、このコツを実行されたなら、大成功なさるでしょう」と。
私は、その後、B社長の訓えを、できるだけ実行してきました。
彼のいうのが正しいことがはっきりわかってきました。
効果は必ずあります。
このことも、いまでは、はっきりいえるようになりました。
これは本当に上等のコツです。
ツキを呼ぶコツは「喜ばせよう」ということなのです。
他者に喜んでもらい、自分を好きになってもらうのです。
差しあげ上手になろう!
そのためにはB社長のように「さしあげ上手になる」ことです。
普通の人は「あげ惜しみ」をします。
もらうのは好きですが、あげるのは嫌いだという人が多いのですが、これは下手に生きるコツでもありますね。
こんなことをいつも実践していますと人から嫌われ、人に足を引っぱられ、運が逃げていきます。
人さまに喜んでもらう方法は「差し上げる」こと以外に多くあります。
相手のためになることをすればいいのです。
「ほめられる」と人は喜びます。
「みとめられる」と人は喜びます。
「うけ入れられる」と人は喜びます。
このようなカンタンなことの実行で、誰でも上手に生き、上手に経営ができるのです。
このことは、事業だけではなく、家庭でもいえることなのです。
運のよい人、ツキのある人というのは、要は喜ばせ上手な人です。
こんなお話を若くして聞かせていただいたことが、社長わらしの商売の原点になっています。